浜中の酪農

 浜中町の酪農① ~浜中酪農の環境~ 

 北海道東部、釧路・根室支庁管内は「根釧(こんせん)地区」と呼ばれる、大酪農地帯となっています。その一角を占める浜中町では約200戸が酪農を営んでいます。

 そんな浜中は、太平洋に面している海流の関係などから夏場の気温が上がりにくく、また海霧が多く発生します。一方冬は、乾燥した晴れた日が多く、積雪は道内各地と比べれば少ない方です。気温も内陸に比べれば暖かいですが、それでも厳冬期には零下20℃位まで下がります。

 このような冷涼な気候から、牧草以外の農作物の栽培が難しく、それが酪農「専業」地域の理由の一つです。

 白黒模様の「ホルスタイン種」は元々涼しいところが好きな種で、「暑い」のに慣れることは出来ても、気持ちよく過ごせるのは浜中のような夏にも涼しい所です。また、寒さへの耐性はずっと強く、零下10度でも調子が良いくらいです。もちろん吹雪のような悪天候の時には難しいですが、風の穏やかな日であれば寒さや雪は気にしません。
 ただし、これは「大きくなった」親牛に限った話です。「反芻動物」である牛は大きな胃袋を持っていて、たくさんの微生物に草を消化してもらうのですが、その時に発する「熱」が体温を高く維持するので寒さにも強いのです。しかし、小さな子牛達は胃が発達していないので寒さには弱く、農家では敷草たっぷりの寝床やチョッキのような防寒服、電熱灯などを使って保温に努めています。

 この地域で、酪農が普及したもうひとつの要因に「生産基盤」、つまり広大な「草地」があることです。草食動物の牛にきちんと牧草を与えることは最も重要なことです。他の畜産業や北海道以外の酪農家のほとんどは、購入したエサを中心に管理がなされ、「牧草」も買って与えることがあります。
 
 「健康な牛が健康な草を食べ、安全な牛乳を生産する」。この循環は、食料を消費者に提供する上で極めて重要なことです。世界的な食料事情の変化や穀物・原油価格の上昇と国内自給率の低下に対する安定供給、さらには生産過程や食の安全性などから、「生産基盤」がきちんと確保されていることが非常に強力な「力」となります。

浜中遠景 放牧風景 仔牛
広大な草地基盤 牛に快適な気候 仔牛が入る「ハッチ」

 浜中町の酪農②~浜中酪農の特徴~

 浜中町では、手伝い程度に人を雇っている農家はあっても、家族中心の牧場ばかりです。、「メガファーム」と呼ばれるような何千頭も飼っている完全な企業形態の牧場はありません。

 牧場ごとに規模や形態は異なりますが、町内を平均すると、親牛が60頭から70頭位。その仔牛や若牛達が40頭から50頭位。ひとつの牧場に100頭前後が平均的な規模でしょうか。

 そして、飼い方には大きく分けて二つ。「つなぎ飼い」と「フリーストール」があります。

 「つなぎ飼い」は昔から行われており、一頭ずつ繋いであるので個別の管理がし易くなります。また、全体の設備投資が小さくて済みます。搾乳は「ミルカー」と呼ばれる機械を人が担いで牛の間を移動しながら乳を搾ります。
 「フリーストール」は、大きな囲いの中で牛を「群」単位で飼う方法で、比較的頭数の多い牧場で効率的に管理するのに向いていますが、設備を整える為の投資額が大きくなります。搾乳は「ミルキング・パーラー」と呼ばれる搾乳室に、一度に複数頭を入れて搾乳を行います。町内では、8割が「つなぎ」、残りの2割にあたる40戸程が「フリーストール」の形態になっています。

 最近では、つなぎ飼いでもミルカーが次の牛まで自動で移動するものや、「搾乳ロボット」と呼ばれるものも町内で稼働し始めました。これは、牛が自分から好きな時間に搾乳する場所に入って自動で搾乳してもらいます。

 これ以外にも作業や酪農機器は、大型化・自動化されている部分がどんどん増え、酪農の近代化は益々進んでいます。

つなぎ飼い フリーストール牛舎 ミルキングパーラー 搾乳ロボット
つなぎ牛舎 フリーストール ミルキング・パーラー 搾乳ロボット


 次に、牧場の一日と、四季を通して浜中での一年のサイクルをご紹介します。 次頁へ

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