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ロシアの湿地―それはまさに広大な原野です。 日本最大を誇る釧路湿原といえども比べ物になりません。 RCCの前身のタンチョウ保護調査連合では,1997年から2005年まで4回にわたって,地球環境基金の助成を得て,また2012年から2014年までの3年間、環境省科学研究総合推進費の一環で、沿海州南部のタンチョウ生息地を,ロシアの研究者とともに飛行機で調査しました。日本ではめったにお目にかかることも乗ることもできない,複葉機(アントノフ An‐2)(下の写真)で,ウスリー川流域を飛んだこともあります。 |
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アムール川(黒竜江)とその支流域は,タンチョウやマナヅル,さらにナベヅルなどの繁殖地になっています。タンチョウとマナヅルは,スゲ群落を主とする同じような開けた環境で繁殖しますが,ナベヅルは川の上流にある少し樹木の混じる湿地や樹林帯の中にある小さな湿地で営巣しています。 |
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この地域では自然河川が自由に蛇行し,その周りには様々な形をした大小の池塘が無数に点在する見渡す限りの平らな湿地が広がります。しかし,なぜかタンチョウやマナヅルの生息密度は高くありません。 ロシアで繁殖を妨げている要因のひとつが,毎年のようにおきている大規模な野火です。これによってツルの巣の材料がなくなってしまったり、巣そのものが焼けてしまったりしています。 |
ロシアアムール州での調査結果(地図)はこちら ロシア沿海州での調査結果(地図)はこちら この調査により,これまで知られていたよりも多くの繁殖番いを確認できたうえに,新しい営巣地点が発見できたため,ロシアにおける保護区設定の資料として役立てることもできました。 |
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中国のタンチョウも,問題を抱えています。 湿地のヨシは,毎年秋に大量に刈り取られ(写真は塩城におけるヨシの刈り取り),繁殖地では巣材の不足,越冬地では人による生息環境への妨害がおきています。 |
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越冬地の塩城では,海岸沿いの湿地が大規模な養魚場(写真)や塩田に変えられています。養魚場では冬に水を抜いて,魚を集めて収穫します。この状況は,一面でツルに餌場を提供する結果になるので地域住民にも経済的効果をもたらし,ツルにとっても良いことだとする意見があります。しかし,こうしたことは,結果的にツルを人間の活動領域に引き込むことになってしまいます。 |
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中国では,さらに難しい問題が起きています。それはタンチョウの観光化です。タンチョウは中国東北部で繁殖し,南部の東海岸沿いや長江下流域で越冬しています。しかし,観光のため,東北部では冬でも南へ渡らない群れを,南部(塩城など)では北へ帰らない群れを作ろうとしています。塩城保護区の事務所前にはツルと遊ぶ女性像が立ち,新しいゲストハウスも建っています。こうしたことが本来的でない群れの創設や,不用意な観光化により,ツルを人馴れさせる危険をはらんでいるのです。 |
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