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FAQfrequently asked questions

このサイトでは長年タンチョウを見続けてきた方たちがタンチョウについての素朴な疑問に対してわかりやすく説明してくれます。
*FAQは随時追加していく予定です。


Q1 タンチョウは一年のうちいつ卵を産みますか?
Q2 タンチョウの巣は毎年同じものが使われるのですか? 
Q3 
冬が近づくと、タンチョウは給餌場まで移動してくると聞きました。
タンチョウはどれくらい長距離を移動できるものなのでしょうか?


Q1 タンチョウは一年のうちいつ卵を産みますか?

A
 季節は春、4月中旬から5月中旬にかけて産むのが普通ですが、もっと早いことも、遅いこともあります。
 では、なぜ産む日に違いがあるのでしょう。ツルは湿地に造る巣に卵を産むので、地面が巣造りできる状態でないとダメです。例えば、大雪の年とか、低温の日が続くなどで雪解けが遅れると、産卵も遅れます。反対に、気温が高くて上流から雪解け水が流れ込み、それに雨が降ったりすると、湿原は水びたしになり、巣を造れないので卵を産めません。
 つまり、その年の営巣地の状態により、産卵は早くも遅くもなります。これを年による違いとします。また、卵を産む場所の状態もつがいごとに異なりますから、同じ年でも、つがいにより早い・遅いがあります。これはつがいによる違いです。さらに、地域全体で、例えば、釧路地方より根室地方で雪解けの遅い年があり、その時は、釧路より根室の産卵が1週間ほど遅れたりします。これが地域の違いです。
 このほか、営巣地でのヒトの影響や、ツルの体の(生理的)状態などが絡んで卵を産む時が決まります。なお、これまで最も早い産卵は3月20日ころで、遅いのは7月になってからです。ただし、遅いのは、最初産んだ卵から雛が育たなかったため、やり直して2回 (まれに3回) 目に産んだ場合です。
 冬の初め、給餌場にいる群れのなかに、背中に茶色の羽がたくさんある幼鳥を見かけませんか。それは遅く産まれた(産卵の遅かった)子です。今度ツルを見るとき捜してみてください。

            (専修大学北海道短期大学名誉教授 正富宏之)





Q2 タンチョウの巣は毎年同じものが使われるのですか?

A
 いいえ、使われません。が、一見易しそうで、奥の深い質問ですね。
 多くのタンチョウ夫婦は、毎年同じ繁殖地(なわばり)を使うようです。しかし、なわばり内では、毎年違う場所に、新しい巣を造るのが普通です。ただ、同じところに連続して巣を造る例がないわけでありません。その場合でも、古い巣の上に、新しい材料で、新しく巣を造ります。巣材はおもに枯れ草(ヨシとかスゲ)なので、一冬越した巣は使い物にならないからです。
 では、なぜ同じところに巣を造ることがあるのでしょう。これまでの例では、巣を造る場所が非常に限られたなわばりで、それが起きています。営巣場所の限られることが、同じ営巣地点を使うひとつの要因なのでしょう。
 それなら逆に、多くの夫婦はなぜ毎年違うところに巣を造るのでしょうか。いつも同じところだと、敵に知られやすいからか、それとも、巣造りをする最もよい条件のところが、毎年変わるからか、いや、単に気まぐれで・・・。
残念ながら、これはまだ謎です。 
            (専修大学北海道短期大学名誉教授 正富宏之)
                    会報「Tanchoー第1号」より
 





Q3 冬が近づくと、タンチョウは給餌場まで移動してくると聞きました。
   タンチョウはどれくらい長距離を移動できるものなのでしょうか?

A
 
大陸のアムール川(黒竜江)流域のタンチョウは、800 〜 2,200q移動して中国や朝鮮半島の越冬地へ行きます。ただこれは、厳密には、どれだけ「移動するか」に対する答えで、どのくらい「移動できるか」の答えではありません。
 ゴールがもっと遠ければ、「移動できる」距離も伸びます。
 しかし、北海道のタンチョウは、最長のサロベツ(宗谷)-下雪裡(釧路)間でも、300qほどの移動です。
 ただしこれは、スタートとゴール間の直線距離ですから、実際に飛ぶ距離はもっと長いはずです。 
 残念ながら、それがどれくらいかは、わかりません。
 さらに、この距離を一気に飛ぶかどうかも不明です。が、地上で時々休みながら移動すると推測しています。

 では、休まずにどれくらい飛べるでしょうか。春と秋の移動のとき、上昇気流に乗り数百mもあがることもあるので、かなり遠くまで飛べると思います。しかし、実測記録はありません。ただ、根室海峡を渡って国後島を往復したタンチョウがいますから、20-30qは軽く飛ぶはずです。
 
今よりさらに羽数が増えたら、昔のように津軽海峡を越え、関東まで1,000q近く飛んでいくツルが現れるかもしれませんね。
            (専修大学北海道短期大学名誉教授 正富宏之)

                        会報「Tancho-第2号」より


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