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タンチョウ国際会議記念講演会を開催
2009.11.16更新

 2009年10月25日、タンチョウ保護研究グループは、北海道立釧路芸術館において「タンチョウの希望ある新たな未来への序章」と題した講演会を開催しました。この講演会は、本グループが地球環境基金の助成を得て3年間行なってきた国際会議「タンチョウ保護のための国際プロジェクト構築」を締めくくり、来年以降の活動に向けた方向を広く知っていただくために企画しました。

 講演会では、はじめに最初に蝦名大也釧路市長と市田則孝バードライフインターナショナル副会長よりご祝辞をいただきました。つづいて、高円宮久子妃殿下による基調講演のあと、4名の方の講演がありました。

講演内容は次のとおりです。

・「鶴に思いをはせて」
 バードライフインターナショナル名誉総裁 高円宮久子妃殿下

 「タンチョウはおめでたい鳥として日本文化の多くの場面に登場している。着物の柄、帯留め、和菓子、日本庭園の置物、引札、掛け軸、絵画など。中にはタンチョウとコウノトリと混同している場合もあるが、折り鶴に象徴されるように幸運やめでたさと結びついた親しみが社会に浸透している。しかし、ツルと人との関係は、互いに依存しすぎないような適当な距離を保っていくように注意すべきであろう。」


 ・「タンチョウと暮らすために−国際会議の意図と課題−」
 タンチョウ保護研究グループ理事 正富宏之博士

 「人とタンチョウの関わりは、かつては食料として、あるいは貢ぎ物・鑑賞の対象とされてきたが、前世紀の急激な湿原開発によって生息地を奪われ激減してしまった。北海道では餌付けの成功によって1,300羽以上にまで個体数が増加したが、電線衝突や交通事故、道路建設、そして人慣れの問題など多くの障害がある。そこで、私たちは2007年より国際会議を行なってきた。目的は参加者の友好促進、各国におけるタンチョウの現状理解、実施可能な国際事業の立ち上げ、タンチョウ保護の新たな計画作り、計画実施を阻む障害を明確にする、障害を除くための効果的方法の検討、各国で方法の迅速な実施、などである。目的を達成するためにはタンチョウの保護に関わる人々が円卓会議を設立し、それを基に保護をどのように進めるかを議論し、具体的そして実質的活動の開始がなければ会議の目的は達せられたといえない。」


 ・「アムール中流域におけるタンチョウ保護の実践と課題」 
 ロシア ムラビヨフカ公園創設者 セルゲイ・スミレンスキー博士

 「アムール川中流域ではタンチョウの繁殖数が減少しており、ヒンガンスキー保護区では1983年の19番いから今年は3番いに、ムラビオフカ保護区では1984の9番いから今年は1番いになってしまった。湿原が乾燥化しているが、降水量に変化はなく、アムール川の本・支流に建設しているダムが原因である。ムラビオフカ自然公園では、1992年にツル類保護のための国際ワークショップ、PTTや足環標識による調査などを行ってきた。現在は湿原環境を守るために国際的な協力を得て、水環境管理のための調査や野火の防止に取り組んでいる。また、渡り鳥とその生息地の保護に対する住民の理解を得るための環境教育活動や、行政などへの働きかけも行っている。」

 ・「ツルと人々」
 ドイツ ツル情報センター所長 ギュンター・ノバルト博士

 「西ヨーロッパのクロヅルは、この30年ほどの間に4万羽から24万羽程度まで増加した。主な理由は農業形態の近代化によって餌の穀類が得られるようになったためである。農業被害や観光客とのトラブルも起きている。そこで、その両方を解決する目的での人工給餌が民間の自然保護団体によって行なわれ、成功している。人工給餌は農業被害の補償よりもはるかに安上がりであり、ツルの渡りシーズンは5つ目の季節といわれる程に観光客に注目されるようになってきた。」


 ・「世界のツル保護のための国際ネットワーク」
 国際ツル財団創設者 ジョージ・アーチボルト博士

 「世界には15種のツルが生息しているが、カナダヅル、クロヅル、ゴウシュウヅル、アネハヅルの4種は生息数も多く今のところ問題ない。アフリカにいる4種(カンムリヅル、ホオジロカンムリヅル、ホオカザリヅル、ハゴロモヅル)と、ユーラシア大陸の4種(マナヅル、ナベヅル、オグロヅル、オオヅル)の計8種は危険な状態である。残りの白い3種のツル、すなわちソデグロヅルとアメリカシロヅルそしてタンチョウは、近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い。ソデグロヅルはインドで越冬するグループは既にいなくなってしまい、イランのカスピ海沿岸で越冬するグループも昨年は1羽になってしまった。アメリカシロヅルは復活のための様々な努力が続けられている。タンチョウは現在繁殖地と越冬地で様々な不安要因を抱えていて、総数3,000羽に届かない。今回日本のタンチョウ保護研究グループが始めた国際的な取り組みに期待している。」
 
祝辞を述べられる釧路市長と控え席の講演者の方々

タンチョウ保護研究グループタンチョウ保護研究グループ

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