2010.5.17
馴 致
やっぱり外は気持ち良い 最初は水桶にもおっかなびっくり
 朝晩はまだストーブが活躍する日もありますが、昼間はだいぶ暖かくなってきました。牧場ではせっせと肥料をまいて牧草を助けているところです。

 さて、そろそろ放牧時期。勿論、牛は柔らかく広い牧草地の方が好きなのですが、半年以上も牛舎に入っていたので、本格的に外に放す前に「馴致」、つまり「慣らし」を行います。
 ひとつは、冬は保存したサイレージを食べていたので、大きな胃に住む微生物たちが外で食べる青草を上手く利用出来るようになるまで少し時間がかかります。同じ牧草でも、餌の質を大きく変えるのはそう簡単にはいかず、少しずつ慣らす移行期間が必要となります。
 もうひとつは、牛の行動です。ぼーっとしたイメージの彼女達ですが、好奇心も強く記憶力もそれなりにあります。しかし、一冬超えると、放牧の記憶が薄れるのか、放してすぐは落ち着きがありません。ひどい時は囲いを突破して脱走なんてこともあります。
 しかし、何回も放牧を経験している年齢を重ねた牛ほど覚えも良く落ち着いているので、若い牛がその後について「放牧ってなんだっけ?」と思い出しているようです。
 
 こんな馴致期間が終わると、新鮮な青草でしっかり乳を出す一方、朝は早く外に出せと騒ぎ出し、移動路を勝手に畑まで歩いていき、牛舎に戻る頃には自然と集まり、外で過ごすのを満喫します。


2010.5.11
地鎮祭
 5月になりました。残っていた雪も姿を消し、まだ肌寒い日もあるものの、牧草地の緑は日に日に濃くなって、ようやく春らしくなってきました。

 さて、先日、浜中で新しい牧場を建設する為の地鎮祭が行われました。この牧場は「(株)酪農王国」といい、農協を中心に地元の建設会社や運送会社、高梨乳業などの関連企業からも出資をしてもらう、全国的にも珍しい形態で経営されます。
 浜中では、ホームページでご紹介しているような新規就農者の受け入れもしている一方で、それ以上に離農家が出ていることや諸条件から全てを新規就農には出来ないこともあり、町全体としての生産力や雇用・遊休農地化の予防など、新規就農とは違う形での地域維持を考えています。

 そのひとつが、今回の新しい牧場です。しばらくは経営を軌道に乗せることが重要ですが、将来的な目標としては、この会社を中心として町内の酪農に色々な流れを作り出すことにあります。
 町内でも1番規模の大きくなるこの牧場が本格的に稼働するのは今秋から。今後が期待されます。


2010.4.25
口蹄疫について
 新聞などでも報道されましたが、宮崎県の牛から「口蹄疫」という病気が約10年ぶりに確認されました。前回は平成12年に国内では92年ぶりに見つかり、農家でも「聞いたこともない病気」とかなり騒ぎになりました。

 口蹄疫は、人間や馬などにはうつりませんが、牛や豚の偶蹄類の家畜での感染力が極めて強く、有効な治療法もありません。発症は直接の死因とはなりませんが、字の如く口や蹄に出来る水泡が破け、その痛みや発熱で食欲や元気がなくなり弱って生産性も落ちることから、大きな脅威となっています。
 その為、家畜や人間への影響が大きい他の伝染病も含め、患畜の殺処分・周辺での家畜の移動制限など、対応が法的に定められています。

 当時も今回も、幸い浜中は発生地から離れているものの、道内外での牛の移動や強い感染力は油断出来ず、牧場施設を始めとして人や車両も消毒し、徹底した予防策が取られています。
 但し、今回は前の発生から10年と短いこともあり、冷静な対処がなされています。
 また、牛乳や肉など健康な牛から出荷されている畜産物には全く問題ありませんが、前回には風評被害も出ていたようです。生産者側だけでなく、消費者側にもきちんとした情報や防疫体制を伝えることで安心を得て欲しいものです。 

 発生地である宮崎では大変な状況にあるかと思います。一日でも早く終息するよう願っています。


2010.4.6
冬から春へ
まだ雪が・・・ 新しい牛舎へ移動
 4月になりました。道外では、桜の開花のニュースも流れ、春を満喫されているようですね。一方、浜中はご覧の通り、まだ辺りは雪と氷で白いまま...今冬は雪が多くそのまま、4月を迎えてしまいました。ただ、だいぶ暖かくなってきたので、日に日に溶けていってます。

 さて、「変わり目」だからという訳ではありませんが、ここ1週間ほどで町内で3件の離農がありました。若い牛だけ暫く残る所もありましたが、親牛は他の牧場に売られていく為、空っぽになった牛舎を眺めると、寂しい気持ちになります。
 現状として、農場リース事業を始めとした酪農での新規就農は離農家の空き物件を利用することが前提となっている為、「既存農家の離農は残念だけど、新規就農が入れれば頑張って欲しい」と思うので、何だか複雑な心境です。

 そんな中で明るい話題も。ある農家さんが牛舎を新しく建て替えたので「牛の引っ越し」を手伝ってきました。搾乳があるので何日もかけて少しずつ移動という訳にはいかないので、朝の搾乳が終わると、すぐ開始です。トラックで運ぶこともありますが、今回は新しい牛舎が目の前だったので、縄をつけてトコトコと連れて行きます。
 昔の古い牛舎に比べると、新しい牛舎は牛だけでなく作業する人間にも良い環境になっています。規模も一回り大きくなったので牛も人も早く慣れて、次のステップに向って頑張って欲しいですね。


2010.3.18
農協女性部の総会
 「農協」というとそこで働く職員を想像しがちですが、協同組合ですから出資している農家さんが基礎となっています。その構成員で作られている組織が幾つかあり、そのひとつが「女性部」です。
 但し、農家の奥さんだけでなく、農家以外の地域の女性も参加出来るようになっており、農村部での女性の地位向上や生活環境の改善などを目的として、それに向けて様々な活動がなされています。

 その女性部の総会が今週行われ、昨年秋に開催された50周年の記念講演の開催なども報告され、今年度は大きな節目の年となりました。また、新年度の計画では部員間の交流や消費拡大の為の料理教室の開催など、より一層の活動強化を進めていくことで閉会となりました。

 ほとんどが家族経営の浜中では、牧場や家庭は勿論、地域の中でも女性の役割は非常に大きなものとなっています。その一方で、旦那さんほど、外へ出る機会や発言する場がないので、問題が表に出てきにくいこともあります。
 その為、地域の女性達の代表となる「女性部」は大きな存在となっています。 


2010.3.5
津波の影響
新しく作られた2本の橋 丈夫な水門
 ご存知の通り、先週末、チリ大地震の影響が日本にもありました。「津波」です。良いニュースではありませんでしたが、津波到達が国内でもかなり早かったので「浜中町霧多布」という地名が何度となくテレビなどから流れてきました。

 元々、漁業から栄えてきた浜中町は、酪農が基幹産業の一つとなった今も町の中心は海側にあります。しかし霧多布は、昭和27年には十勝沖地震、昭和35年には今回と同じチリ大地震で起った2度の大津波で壊滅的な被害を受けています。その凄さは、「陸続き」であった市街が切り離され霧多布「島」になった程。現在は2本の橋で繋がれています。
 その甚大な被害から、堤防などの対策も進み情報伝達も早くなり、また今回は予測より振幅が小さかったお陰で人や街中には被害がなかったものの、海中にあるウニなどの養殖施設が壊されてしまい、回復には時間がかかりそうです。
 一方、酪農の方は牧場や工場等のほとんどが高台になる山側にある為、影響はありませんでした。とはいえ、町の大切な産業であり、知人や親戚なども多く、やはり他人事ではありません。また、現在も遠いチリでは余震もあり復興の目処も立っていないようです。

 地震や台風、そして今回の津波など、大きな自然の力はどうにもなりませんが、少しでも被害が減るような予防や対策が進むのを祈るばかりです。 


2010.2.27
カウブラシ
こんな感じでぶら下がってます 触るとゴワゴワ
背中の上も掻けます! 以前のものはこんな感じ
 もう2月も終わり。とんでもなかった気温もピークを過ぎ、寒さも緩んできたでしょうか。さて今回は、雪や寒さで牛舎の中にいることが多い今時期...ばかりでもありませんが、牛の楽しみをひとつご紹介します。

 「カウブラシ」とは「牛の体を掻く為のブラシ」の事。牛も体や頭が痒くてムズムズしたままだと落ち着かないのは人と同じ。かといって、犬猫のように自分の手足では無理なので、飼い主に「体を掻け!」と擦り寄られても、あの巨体相手では人間の方が転がされてしまいます。
 そこで、牛が繋がれている飼い方の場合には小さな手持ちブラシを使うこともあるのですが、今回は特大サイズをご紹介。
 自由に寝起き出来るフリーストールと呼ばれる牛舎では、これを柱に取り付けると、牛が好きな時に寄って来て擦り付けていきます。かなり硬いブラシを「痛くないの?」と思うくらいゴシゴシとやっていても、本人達は気持ち良さそう。
 以前は大きなブラシを固定するだけでしたが、最近はマッサージチェアのように進化していて、体の押し付けに自由に角度が変わり、更にモーターで回転!順番待ちをする程の大人気です。
 但し、このブラシ、一式数十万円!気持ちよく過ごして乳を出してもらう為にも、お金が掛かりますね... 


2010.2.5
今年の経営計画
 昨日は「立春」。春の始まりのはずですが、近年なかった程の厳しい寒さ!浜中でも、川に近い所や低みにある牧場では「マイナス30度」を下回ったようです。これだけ寒いと、防寒対策をしても屋外へ一歩出れば、きゅっと身が痛くなるような感覚を覚えます。牧場でも、作業機のエンジンが掛からなかったり、普段なら問題ない牛の水飲みが凍ったり...幸い風雪はなく、晴れて穏やかであったので、寒さに強い牛たちはそんなに気にしていなかったかも。
 さて、今年も経営計画を立てる時期を迎えています。先月から農協職員との協議が始まり、出遅れた方が少し残っているくらいでしょうか。
 昨年は、春から生乳単価が上がった一方で、餌や資材等の高騰もピークを過ぎ落ち着いたことから、経営的には一息つけました。
 しかし今年は、牛乳消費の低迷などもあり、春からの新年度乳価は引き下げられ、加えて生産調整も行われそうな気配があります。また、もう一つの収入の柱である個体販売も肉用向けの価格が昨年同様、安定しておらず、まだまだ経営には工夫が求められています。
 協議は、牧場の親方と行うことが多いのですが、若い後継者や奥さんと一緒に相談される方もいます。家族経営は個人の自営業ですので、収支が「家族の収入」に直結する為、生産状況は勿論ですが、家計費の部分についても協議を行うことがあります。
 「厳しい状況だから」というだけでなく「家族経営」として、作業も経営も皆で意識することが必要なのかもしれません。


2010.1.27
研修牧場へのお客様
農協の駐車場もリンクのよう・・・ 遠〜くからいらっしゃいました
 年明けから早くも3週間経ちましたが、浜中はこの間に数回、大雪に見舞われました。しかも湿った雨混じりの雪や日中の気温が高かったこともあり、雪は溶けたり凍ったりを繰り返し、氷の塊のようになっています。
 そんな冬の時期、いつもは酪農関係者やタカナシ乳業の取引先などが多い研修牧場の視察ですが、今回は地元商工会からのご紹介で、浜中と交流のある「沖縄」の方がいらっしゃいました。
 話を聞けば、「海開きをした」とか「サトウキビ収獲で忙しい」とか...日本列島が南北に長いのを実感します。沖縄では、「牛」といえば酪農より肉牛経営の方が盛んだそうで「島ひとつ、放牧」という所もあり、北海道とは違うスケールの大きさがあります。
 沖縄と浜中では日本の端と端ですが、主流ではないにしても同じように牛を飼って酪農されてる方がいます。一方で隣町の特産品が違う地域もあります。様々な経営があるのが農業の面白さですね。


2010.1.5
新年のご挨拶
 新年、明けましておめでとうございます。

 年末年始、皆さんのお住まいの所ではいかがでしたでしょうか?浜中では、晴れたり雪が降ったりと変わりやすい空模様でしたが、大きく荒れる事はなく、暖かく比較的落ち着いたものとなりました。
 さて、今年の酪農、昨年から続く様々な課題はありますが、やはり家族での経営がきちんと継続出来ることが求められ、それには、浜中の広い草地を生かして良質な粗飼料を確保し、外的な影響を軽減・低コストにつなげていく事が大切です。
 あとは「お天気」でしょうか...とにかく適期に収獲が出来れば、質の良い牧草を食べた牛達は乳量が増えたり病気が減ったり、自然と経営にもプラスに働きます。こればかりは人の手が及ばないところですが、少なくとも昨年のような天候不順がないのを祈るばかりです。

 今年も浜中や酪農のことを様々な場面でご紹介できればと思います。 どうぞ宜しくお願いいたします。